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第1回若手領域会議 参加レポート(2)

学会・領域会議参加2023-10-28

若手領域会議参加報告

杉本 光 (東京大学医学系研究科分子生物学専攻)



2023年10月11-12日に開催された、学術変革領域研究 A (冬眠生物学 2.0) 若手領域会議に参加した。

・会議の内容

本会議では、計画班の全ての研究室から大学院生やポスドクなどの若手1-2人ずつが、自分たちが行っている研究内容を報告した。本領域では、全ての研究室のPIの方々がzoomで研究内容を発表する機会が今年春や昨年もあり、どの研究室でどういった研究が行われているか、一学生である私にも概ねの内容は把握できるほど良く交流が行われている。そのため今回の領域会議では、これまでと同じような内容が繰り返し発表されるだけで、やや退屈な内容になってしまわないかと思っていた。しかし、そんなことは全くなく、最近出た未公表の結果や、PIの方々が述べなかった研究テーマなどについての発表があり、とても新鮮であった。
 本領域は「冬眠生物学」という名前であるが、この冬眠という現象にアプローチするために多くの分野の研究者が集まっているのが本領域の特徴の一つではないかと思う。本会議でも多彩な分野の方々の話を聞くことができ勉強になった。私自身が現在行っているテーマは数理解析に関連したものであるが、他の方々が発表されている様々な生命現象と数理モデルを組み合わせることで、より生命現象の理解が深まるといいなと思いながら拝聴し、いくつかやりたいと思うテーマも思いついた。
 このように複数分野の研究者が集まる会議の難しい点は、お互いに何を言っているのか分からなくなってしまうことだと思う。しかし、初歩的な質問などもしやすい良い雰囲気で活発な議論が行われており、異分野融合の場としても、この領域は非常に有用なものになっているのではないかと学生ながらに思った。
 また、最後に領域アドバイザーの梅田先生の特別講演も拝聴できた。内容についてここに記載するのは控えようと思うが、発表内容や発表の仕方など、大変引きつけられた。

・自分の発表

私自身は、口頭発表ではマウスの休眠において代謝物やmRNAがどのように制御されているのかについて詳細に調べた結果について発表した。また、その後のポスター発表においては、マウスの休眠やハムスターの冬眠時に体温がどのように制御されているのかについての数理モデルを発表した。上記に、多くの人が最新の結果を報告していて勉強になったというようなことを書いたが、私が発表したこれらの内容は今年春に発表した内容からほぼ進捗なしである。深く反省して研究を進めたいと思う(注1)。
 最近、私はほぼ解析しか行っておらず実験をほとんど行っていないのだが、冬眠という現象を調べるにあたり解析のみで何かを明らかにすることの限界を感じていた。本会議では、実験分野の多くの方々からコメントを頂くことができ、今後の研究に非常に参考になった。

・会議の感想

私はコロナ流行後に研究を始めたため、今回がオンサイトで口頭発表を行う初めての機会であった。領域アドバイザーの深田先生がおっしゃっていたように、オンサイトで会議を行うことのメリットの一つは発表以外の場(廊下など)での軽い話が研究の深い議論に繋がりうることだと思う。普段のZoomミーティングではできないような交流ができた。それと同時に、私は研究を始めてからの2年ほど1日中自宅に篭りパソコンに向かうだけの生活をしており、人間との会話から離れていたのでコミュニケーションを円滑に取ることの難しさ、重要さも感じた。今後は少しぐらい人間と会話しようと思う。
 本会議での心残りを挙げるとするならば、定山渓という良い場所で遊ぶことが全くできなかったことである(それほどまでにこの二日間は密な議論を多くの研究者と行うことができた)。定山渓にはまた今度個人的に遊びに行こうと思う。

最後に、北海道大学の方々をはじめこの会議開催にあたりご尽力頂いた多くの方々に、深く感謝いたします。また、私が行っている研究は、黒田研究室のメンバーだけでなく、本領域の砂川先生、櫻井先生、山口先生、曽我先生を含む多くの先生方の多大なご協力とご支援を頂いております。心より感謝申し上げます。

(注1)実際は少し研究を進めているものの、ここには詳細を書けないだけです。

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